化石の戯言

　朝から雨。雨の移動は好きではない。車での移動のときはあまり気にしていなかったが、バス地下鉄での移動はバスが遅れ気味になるので好きではない。それに、乗り換えの際の傘の恐怖がほんとにいやなので。

　今日は、いつものバスを避けた。理由は自分でも分からない。たぶんバスが遅れるだろうから、地下鉄も違うのになるならいっそ遅いのにというのが潜在的にあったのかもしれない。
　そのバスが、工事渋滞で遅れた。地下鉄はいつもの2本遅いものに乗車。乗客の雰囲気が違っている。まぁ、乗客が違っても、いつもの光景をいくつか見る。

　名古屋駅で下車。乗換えまで時間があるのでゆっくりと、エスカレータも歩かないで乗って。改札を出て地下街から地上に出る方向に歩き少し下を向いたまま進んだところで、女性に声をかけられた。
　「えっ？」　
　なんと、数年前からメールのやり取りができなく、音信不通だった、私が大学で講座を持っているときの担当した中の一人。忘れることができない中の一人である。学生時代よりも、スレンダーになっている。じっくり見れば分かるのだが、ただ単にすれ違いでは分からなかったか。目が合えば別だろうが、違う方向を見ていたので、今日は声をかけてもらったことが本当に幸運だった。
　彼女の横に一人の、これまたイケメンの男性が。なんとなんと、結婚したお相手であるという。何百人という学生さんとのお付き合いがあったが、結婚相手を見ることになったのは初めてである。うれしい限りである。

　こういったうれしい出会いは、車ではなかなかないかもしれない。
　それにしても、ものすごく希少な確立での出会いだ。バスを遅らせ、バスが遅延し、乗換えをゆっくりにしたことがこの出会いになったのだから。

　今日は、何にしても最高の移動日となった。途中で見たいろんなものが全て消えてしまった。

　声をかけてくれた彼女に心から感謝だ。