2009年07月23日

五木寛之 親鸞 放火???

 遵西と行空が、九重塔に火を付けることを黒面法師が画策している。

 どうしても、この二人を、歴史に名を残す二人を変な方向に持って行こうとしているように思えて。確かにこの二人は、興福寺からのクレームで流罪にあって、後に法然から破門されているようだが、だからといって放火をする方向にまで持って行く必要があるのか?
 
 ストーリーでは、またまた親鸞の妻・恵信の妹・鹿野が登場することになるが、その妹を火付けする九重の塔に監禁して、それをおとりに親鸞(ストーリーでは善信)をおびき寄せて犯人に仕立てると言うことを画策しているようだが。
 その鹿野は、目下親鸞の世話役の犬麻呂のところにいる、そこから誘拐と言うことなのだろうが、それでは犬麻呂の監視体制やら仲間内のつぶての弥七の監視体制がいい加減と言うことになって仕舞う。
 前々から、ストーリーの荒さが気になってはいるものの、もう少し整合性を取って欲しい。

 特に、遵西に関しては、後々斬首刑に会うのであるが、それはこういった九重の塔放火といったものとは違った流れから出てきていることは史実が示していると思う。
 いずれ後鳥羽上皇が出てくることになるのかとは思うけど、そうなると放火の罪を犯す人間が、またそれらを画策する人間が法然門下にいて、法然の教義を崩壊させようとしていることになる。

 親鸞自身には、確かに多くの公文書は少ない。だからナントでも書くことはできるかもしれないが、承元の法難に関しては、結構書き残されている部分もあり、それをここまでストーリーを発展?させることがどういった意味を持たせているのか疑問を感じている。
 小説だから、それなりにどきどきさせるストーリーが必要だろうが、それなら親鸞をモデルにした別人を仕立てて書いてくれた方が、一般の読み手に対する思いやりというものではない過渡すら思う。

 五木氏は、「現在は親鸞の時代と同じで変革の時代」だと語っているようだが、小説のストーリーからは、そんなことはみじんも感じられない。この先そういったストーリーになると言われるのかもしれないが、連載開始から10ヶ月を過ぎた今の段階では、まだまだ。。。。

 親鸞は、今でこそ有名人である。しかし、それは浄土真宗八代の蓮如のなせる業である。蓮如があれだけの勢力を持つ集団にしていなければ、浄土真宗はその形を無くしていたと思う。そうすれば公文書に名を残すことの無かった親鸞は、伝説にもならなかったかもしれない。親鸞は、結構無名人であったと思われるのだが。(比叡山にも、彼の記録はないようだし・・・)

 彼は変革の時代の変革の当主ではなかったように思うのだ。親鸞の宗祖という扱いもみんな後の時代の産物で、彼の生きた時代に根付いたわけでもないと思う。
 いずれ越後に流され、関東に移住してそれなりの足跡は残すものの、彼は弟子も持たず、寺も持たずを貫いている。そこには自分で集団を率いて改革とは思っていなかったとも思うのだ。関東に移住してから「顕浄土真実教行証文類」通称「「教行信証」を書くのだが、これも彼は広く世に出しているようには思えない。

 書き始めると止めどもなく違った方向に行きそうなので、ここで止める。
 とにかく書きたいことは、『親鸞はそんなにお馬鹿だったの?』だ。

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